CUSTOMER’S VOICE

大きな窓が良いと思っていたのに、小さな窓に満足している理由

東京都Uさん

2023年建築

「家は3回建てないと満足しない」と言われることがあります。本当にそうでしょうか?
今回はあえて「不満な点、ありますか?」と聞いてみました。

◆ 設計イメージとのギャップ、ありましたか?

最初に聞いたのは、設計時と完成後の「イメージの違い」について。特に窓の位置や大きさは、住んでみてから印象が変わることも多いポイントです。

U様(ご主人)
「ギャップはなかったんです。設計のときに、光の入り方や風の通り方などを丁寧に説明してもらって、かなり時間をかけて共有できていたから。
僕はもともと“窓は大きいほうが開放感がある”と思っていて、たくさん大きな窓をつけたいと希望していたんですけど、方角とか隣家の目線とかも考慮して“小さい窓になるところもあります”と聞いて。そのたびに理由をしっかり説明してもらえたから、納得できました。
実際にできあがった家は、リビングに吹き抜けもあって、想像以上に開放的です。窓が大きくなくても、十分に心地よい空間になってます。」

 

さらにご主人のお気に入りは、2階の書斎。

「2畳というコンパクトな空間ですが、大きな窓がついているので、外の景色や空が良く見えます。小さい部屋だから冷暖房の効きもいいし、居心地が良くて仕事もはかどります。」

 

 

「窓は大きい方がいい」とおっしゃる方は少なくありません。たしかに、大きな窓は明るさや開放感をもたらしてくれます。けれどその一方で、窓が大きすぎることで断熱性が下がり、夏は暑く冬は寒い家になってしまうことも。

U様も最初は「できるだけ大きな窓をつけたい」と希望されていました。
その理由を伺うと、「明るさ」と「開放感」が欲しいからとのこと。

そこで私たちは、窓のサイズをただ大きくするのではなく、その目的=“明るさ”や“開放感”をどう実現するかという視点で設計をご提案しました。

たとえば、光がたっぷり入る方角を選び、視線が抜ける位置に窓を配置することで、実際のサイズ以上の広がりを感じられるように。さらに、吹き抜けや天井の高さなども工夫し、U様ご家族にとって“ちょうどいい開放感”のある空間に仕上げることができました。

大切なのは、“何を望むか”より、“なぜそれを望むのか”を共有すること。
本当の暮らしやすさは、見た目だけではなく、そこにある考え方や工夫の積み重ねから生まれるのだと、あらためて感じさせていただいたエピソードです。

 

◆ 奥さまの“自慢の場所”は?

ご家族それぞれにお気に入りの空間がありますが、奥さまは真っ先に「キッチン」と答えてくださいました。

U様(奥さま)
「朝5時に起きて、キッチンでコーヒーを飲むのが私の大切な時間です。子どもがまだ小さくて、仕事と家事でバタバタしているので、この“ひとり時間”が本当にありがたいんです。
ときどきピアノも弾きます。藤井風さんが好きで、彼の曲をよく弾いてます。吹き抜けがあることで音が反響して気持ちが良いです。」

慌ただしい毎日の中に、ふっと自分に戻れるキッチンがある。そんな「わたし時間」を支える場所は、忙しいママにこそ手にしてほしいものです。

 

 

 

◆はじめての「できた!」の瞬間

「僕、登れるよ!」

そう言って、リビングの柱をスルスルと登って見せてくれたのは、お兄ちゃん。
その様子を見ていた妹さんも、思いきってチャレンジ。
少し緊張した表情で足をかけ、手でつかみ……見事、初めてのぼることができました。

大人から見れば、ただの木の柱かもしれません。
でも子どもたちにとっては、そこが「挑戦の場」であり、「自分でできた!」を味わえる場所。

自然素材の家は、こうして日々の遊びや暮らしの中に、小さな成長のきっかけを散りばめてくれます。
この家では、暮らすことそのものが、子どもたちの感性を育む“体験”になっているのかも。

 

 

◆ お母さまも1階で快適に暮らしています

このお宅は二世帯住宅。1階には、ご主人のお母さまが同居されています。

U様のお母さま
「キッチン、リビング、寝室をコンパクトにまとめてもらって、とても暮らしやすいです。年齢的にも移動が少ないのは助かりますし、ちょうどいい距離感で家族とつながっていられるのがありがたいですね。2階から孫たちが元気に走り回る音が聞こえるのも嬉しいです。」

 

 

◆ “不満”を聞きに行ったはずが…

取材にうかがった私たちとしては、あえて「ここがちょっと…」という話を期待していたのですが、返ってきたのは「納得できた」「お気に入り」という言葉の数々でした。

家づくりは、「暮らす人と丁寧に向き合う」ことの積み重ね。
その積み重ねの結果が、“初めての家”でも「これでよかった」と思える家になるのだと感じました。

 

  

取材/正田純子

 

 

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