健康住宅宣言を発表して42年。
カテゴリー :家づくりを考える1982年、私たちは「健康住宅宣言」を発表し、大きな反響を呼びました。
当時、健康といえば食事や運動、あるいは医療のテーマとして語られることが多く、住まいと健康が結びつけられることはほとんどありませんでした。しかし、私たちが「住まい」と「健康」の関連性に真剣に向き合うきっかけがありました。それは「日本人の3人に1人がアレルギー。アトピー性皮膚炎の原因はハウスダストにある」とする新聞記事でした。
アトピーと住環境の関係
その記事には、それまで食べ物や体質が原因と考えられていたアトピーが、実は私たちが日常的に過ごす室内環境にも大きく影響されていて、家の中のホコリやカビ、ダニ、さらにはダニの糞や死骸が原因で、アトピーやアレルギーが引き起こされる、とありました。
今では当たり前の情報ですが、当時は衝撃的な記事でした。
私たちの日常生活の中で、ホコリやカビ、ダニを減らすことが、家族の健康を守るための第一歩であることに気づかされたわけです。これ以降、床はホコリがたまりやすくダニの温床になりやすい絨毯や畳からフローリングへと主流に移り変わっていったのです。
健康住宅なのに化学物質過敏症?
時代と共に住環境が変化し、ハウスダスト対策、防カビ防ダニ対策が進む中、新たな健康問題が発生しました。それが「化学物質過敏症」です。住環境の改善に伴い、建材やインテリアの選択肢が増える中、ビニールクロスの糊や、合板フローリング等の新建材に使われる化学物質が原因で、逆に体調を崩す人が増えたのです。例えば、防虫剤や接着剤に含まれるホルムアルデヒドは、健康被害を引き起こす化学物質の一つで、今ではその濃度を低く抑えたF☆☆☆☆(フォースター)建材が一般化されています。
しかし、この基準は「化学物質を減らす」という対処療法的なものであり、根本的な解決には至っていません。むしろ「F☆☆☆☆建材だから健康的な住宅」という誤解さえ生む要因にもなっているのです。
住まいと健康を守るための選択
では、どのようにして「本当の意味での健康住宅」を実現できるのでしょうか。
・ホコリをためにくい素材を使う
・カビやダニの温床をつくらない
・化学物質過敏症を引き起こす新建材の使用は極力控える
・温度差による健康被害を出さないための断熱性能の確保
・家の中をできるだけ均一な温熱環境を維持できる冷暖房器具
・日当たりや風通しはもちろん、適切な換気経路が確保された間取り
等など、細かく上げればキリがありませんが、いずれにしても建て方や素材、その使い方に至るまで総合的に信頼できる建築会社の見極めが求められます。
まとめ:健康的な住まいづくりの未来
住まいが健康に及ぼす影響を知れば知るほど、健康住宅を実現するには、建材の選び方から施工、換気、さらには住んだ後の暮らし方まで考えるべきことが多いとわかります。
健康住宅は、ただの「流行の一環」ではなく、家族の未来を守るための選択といえるでしょう。