無垢フローリングをコルクタイルにしたら窓に結露 ~Sさん宅の事例
カテゴリー :家づくりを考える2004年にエアサイクルの家を建てられた川崎のSさん宅を訪問した時のお話です。少し前のことですが自然素材で家を建てようとされている方、ペットと暮らす家づくりをお考えの方には参考になるかと思いますのでご紹介します。
自然素材をふんだんに使用した同居型二世帯住宅
Sさんのお宅は家族5人の二世帯住宅です。
二世帯住宅といっても、玄関、キッチン、お風呂は共有、一階にはご両親の寝室、二階には夫妻の寝室と子供室がある同居型二世帯住宅です。
家の中は無垢の木と漆喰をふんだんに使いました。室内の壁と天井は漆喰仕上げ。
床材は、ライフスタイルとご家族のお好みにあわせて1階と2階の床材を貼り分けました。キッチンやメインリビングのある1階は固くて傷にも強いクリフローリング、夫妻の寝室やサブリビングのある2階は足にやさしく温かみのあるサワラフローリングです。
ワンちゃんフロアにコルクタイルを敷き詰めました
家が完成して5年過ぎた頃、Sさん一家はワンちゃんを家にお迎えすることになりました。大型犬のフラットコーテッド・レトリーバーです。
とても友好的で高い学習能力を持つ犬種の様ですが、来た時はまだ子犬でしたしやんちゃな性格もあって、家の中での居場所はご両親の寝室がある1階ではなく2階に決まりました。しかし、二階の床材は柔らかい無垢のサワラ。徐々に犬の爪による傷が目立ち始めたため、コルクタイルを床に敷き詰めたそうです。
窓の結露が発生
ここでSさんの予想外の問題が起こりました。それは窓の結露です。高い吸放湿性を持つサワラフローリングをコルクタイルで覆ったせいで、行き場を失った湿気が窓に結露を生じさせたと思われます。
この事例とは逆に、マンションの窓の結露が気になっていた方が床と壁を自然素材に変えるリフォームをしたところ結露は起きなくなったという事例もあります。
どちらも、湿気を吸ったり吐いたりする自然素材の吸放湿性がどれだけ室内環境を整えてくれるかがわかるケースです。
※Sさんが家を建てた頃はアルミ製のペアガラス(空気層12ミリ)が主流でした。このようなお宅で結露が気になる場合は窓の断熱化をお勧めします。樹脂の内窓が工期も短く費用面でも安く抑えられます。国の省エネ補助金制度がありますので是非ご利用ください。
無垢材と漆喰の役割
Sさん宅では、壁と天井が漆喰で仕上げられ、見える化粧柱や梁も無垢材を使用しています。これにより、家全体で多くの湿気を吸放湿できるはずでした。それでも結露が発生したことで、各素材が複合的に作用し、室内の湿度を調整していることがよく分かるエピソードです。
隠れたリスク=壁の中の湿気・結露
窓の結露は表面結露とも言い、発見しやすく拭けば対処できます。しかし、家を建てる時重要なのは躯体内(床下や壁の中)の湿気対策です。床下や壁の中に湿気がこもると、結露やカビ、腐朽菌による木材の腐れ等にもつながり建物の耐久性に影響を及ぼします。
そこで内部結露を防ぐために開発されたのがエアサイクル工法です。エアサイクルの家のしくみについてはHP等にてご確認ください。